月下美人 (3/3)
ふいに、身を裂かんばかりに開いた花が一輪、その身を
散らす。それを合図にしたかのように、次々と花たちが崩
れ落ちる。男の唇を奪った花もその定めにはあがらえず、
儚く散ってしまった。
後に残されたのは、無残にも引き裂かれてしまった花の
残滓と、異形の茎、そして、わずかに残る甘い香。
男は、物憂い視線を投げかけたまま、夜があけるまでそ
の場を動こうとはしなかった。
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