bo-bo-記 rec.0109 01.03.26



映画感想文『スナッチ』」
  


 最近自分のダメさ加減にいささかウンザリしていたところ、今度はダメ人間ばかり登場する映画を観た。ダメ人間といえば舞台はロンドン。そんな人々がタムロする裏社会の人間たちのバカでカッコイイ、そして男臭い群像劇。題名は『スナッチ』。監督は前作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』』でデビュー作にして傑作をつくってしまったガイ・リッチー。『ロック、ストック〜』に関しては以前も[bo−bo−記]で書いたと思うけど、ちょうど鬱にはまり込んでいたときに観た映画で、落ちていく僕をすごく元気づけてくれた。まあ舞台がロンドンとかニューヨークというだけで僕はその映画が好きになってしまうところがある。なんでかな、と考えてみたら。都会の人間たちによる“孤独感をかかえながらの人との関わり方”−なんて陳腐な言い方−にいまだにこだわっているからだと思う。都会には夢があるかわりに人をダメにする毒がある。その毒をどうやって中和して生きていくのか。きっとそれをするために最終的には田舎の人達が持つ“素朴”とか“自然”とかいう言葉に置き換えて行く作業をすることになるのだろう。けど、それだけでいいのだろうか。もっとこう都会の中の確信めいた恋愛や友情、そして生活に、もっと希望があっていいんじゃないか、もっと必要性があっていいんじゃないか、もっと大事にすべきなんじゃないのか。都会が頑張らないと今の日本は本当にダメになってしまぞ。そう思います。ゴメン。話がそれたようなので戻します。

  えー、なんだっけ。ああ、ロンドンとニューヨークだ。そうそう、どちらの街も以前に訪れたことがあります。そのときにひたすら歩いた記憶があるのです。僕の中でどんなに歩いても全然あきない街、それはロンドン、ニューヨークそして東京なのです。何処を歩いていても空気が停まることはない。絶えず流れ続けている。それが落ち着かなくイヤダという人の気持ちもわかる。だけど僕はそれが都会の街の魅力だと思っている。どんなにイイ事があってもイヤな事があっても街はタフに風を流し続ける。時には心地よく時には心地悪く。でも東京は映画にして切り取ってもあまりイイ絵にならないけどね。というよりカッコイイ風景の場所は東京に関しては撮影許可が下りないんでしょうね、きっと。悲しいかな。

 で、今回の『スナッチ』はどうかと言うと。またまた面白かった。見始めからグイグイとストーリーの中に引きずり込んでくれて1時間42分アッと言う間に見せてくれる。ストーリー展開とか構成の仕方にとても特徴があるのでここに種明かしをできないのが残念だ。少しだけ言わせてもらうと前回同様、主役という主役はナシ。お話し全体が主役でいろんな登場人物が入れかわり立ちかわり、絡んでは消え絡んでは消えして目まぐるしく通 り過ぎて行く。何処まで続くのか、何処でストップするのか誰にも分からない。まるで魔法にかけられたみたいに、監督の術に役者も観客もハマッていく。なんともイイ顔をした役者達を集めたものだ。

そしてあの大スターブラッド・ピットさえ登場人物のひとりとして扱っている。そこがイイ。おかげでブラピは随分と得していると思う。あそこまで大スターになってしまうと周りがスター扱いするために、自分では気がつかないうちにスター体質になってしまっていることが多い。一度スター体質になってしまった俳優さんは可哀想だ。いつも王様で居ないと不安になってしまうからだ。王様はチームワークを乱す。折角みんなが力を合わせてモノを造りあげようとしているのに、自分の力を誇示するために機嫌の善し悪しによって現場を目茶苦茶にしてしまう。そして、決まって下半身をブルンブルンさせ、手当たり次第に暴れまくりポコチンに花を咲かす。でも今回のブラピは違った。まあ、違った、と言っても実際に見たわけじゃないけどね。でも、画面 から伝わる雰囲気からしてブラピが王様然としていなかったことは明白だ。「ジョー・ブラックによろしく」では、きっと下半身をブルンブルンさせた、暴れん坊王様であったことだろう。おかげで映画もつまらなかったし。まあこれも実際見たわけじゃないけどね。でも映画というものは現場の雰囲気がそのままプリントされるから不思議だ、うん。僕は今まで役者としてのブラピの演技は「セブン」がいちばん好きだった。あれがあまり評価されなかったのが不思議なくらい、あの映画の彼はイイ意味でマイペースの表現になっていたと思う。でも「スナッチ」ではそれよりももっとイイ役者に見えた。見えたというよりイイ役者だった。これは監督の力が大である。王様であることよりも、もっと大切なことが映画創りにはあることを、監督は作品を通 して彼に教えてたのだろう。ガイ・リッチーさまさまである。ブラピに代わってお礼が言いたい、どうもありがとう。いいえどういたしまして、返事を返すガイの声が聞こえるようだ。オレはアホか。

まあ、ちょと褒め過ぎの感もありますが。この映画かなりのお薦めです。まあ欠点を探せばいろいろあります。なんであんなに簡単に人を殺すのか。映画の中で人を一人も殺さずに話を進めていったら大拍手ものであったのに。まあこれに関してはあまりツッこまないでおきましょう。あと、こんな目に会ったら普通 の人間なら死んでるだろうと思うところでもシッカリ生きていたりして。まあこれも仕方がないと言えば仕方がないけどね。映画の中の出来事として目をつぶれる範囲ではある。あと、面 白いのが最近では珍しくお色気シーン(なんと陳腐な言い方)がまったくないこと。というより女性の登場人物がほとんどいない。覚えているだけでもノミ屋のボーイッシュなオネエちゃんとフリークっぽい双子のオネエちゃんぐらいだ。この三人とてべつに全然フェロモン系ではない。金を追いかける男たちの話に、色っぽいプルプル女は付き物なのだが、それを敢えてはずしてある。そのため映画にベタつきがなくてあっさりして見える。この脚本が成功しているのはキットここらあたりにヒントがあるのようだ。

でもそんなガイ・リッチー監督が、現実ではなぜマドンナのような女にハマッたのか。
そこが人生の面白いところである。これからもいろんなオネエチャンにハマッてイイ映画を撮り続けてほしいものだ。

男臭い映画は後味がいい。
そんな気がする映画である。

 

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