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◎清水義範『スタア』(幻冬社)
P08
〜大衆はタレントの人間性など見てはいないのだ。大衆が見ているのは、事務所の売り出し方針だけなのだ。
N:吉本、ジャニーズ、バーニング、ホロプロ、etc.みんなそうでしょう。事務所の個性=所属タレントの個性につなっていませんか?
スタアがいつ駄目になろうとも代わりはいくらでも造れます。恐ろしいことだけど・・・
P179
この業界にいると、自分以外の誰かが注目を浴びることのすべてが気に入ら
ないのだ。自分よりずっと各下の新人が、ほんのちょっとの賞賛を受けるのも面
白くないのだ。すべての賞賛は私のためにとってあるべきだ、という、非現実的な望みを持っているのがタレントだ。自分以外の人間が評価されるのはむしょうに面
白くない。
N:これはスタアさんに限らず、人間が本来持ってしまっている業の一つだと思う。たまたまスタアさんはそれが際立ってしまっているだけである。でもスタアさんは自分のそういう姿を自覚しているけど、一般
の方は自覚がない分だけタチが悪いかもしれない。やれやれ。
P180
なぜ自分を罰したいのか。人の好運を喜べない自分に腹が立つからだ。あら
ゆる評価を独り占めにしたがっている自分のあさましさが恥ずかしかった。それってすごい醜いことだ、と思う。自分だけが選ばれた人間であるかのようにもてはやされたくて、ひとの心を感じとることができないなんて、最低だ。
でも、そんな最低の人間ばっかり。私もそんな中の一人で、いつだって評価のことばかりを気にしている。
N:ああ、オラもそうだよ・・・トホホホ・・・。
P186
イジメはどこにだってあるかもしれない。だが、イジメることによって誰かが落ちていけば、それが自分の安泰につながるというのはこの社会だけだ。同業者がすべてライバルで、一人でも蹴落とせば自分の延命につながるというのがタレントの世界だ。
N:これもそうですね。タレントの世界に限ったことではございません。世の中がそうなのです。悲しいかな・・・・。
P248
「人間って、仕事していないとすごくつらいんですね。生きてる値打ちがないような気がするんです。私、ずーっと働きたくてたまりませんでした」
N:今のオラがこの心境ですね。働きたくてしかたがない。働いていないと恐くてしかたがない。働いていないと人間としてダメと言われている気がしてしかたがない。誰か、オラをいらないか。肉体労働は駄
目だけど頭は使えるゾ。さぁ、今なら安いゾ。どうだろう。
◎小林信彦『出会いがしらのハッピー・デイズ』(文藝春秋)
P115
氏(井上忠夫・元ブルーコメッツ)の自殺を《初老期うつ病》と括るのは、
それはそれで当たっているのかも知れないが、あまりにも心ないことだと思う。
夫人が長いあいだ病気であり、氏みずからも《重度の網膜剥離》で、両目とも見えなくなる可能性が大であったと聞くと、《うつ病》以前の段階で、もう人生をやめたくなった気持ちがわかる。
「目が見えなくても作曲はできる」なんていう人は、《ものを創る人間》の内
面がまるでわかっていない。しかも、氏は―ぼくがちらと眺めただけでもわかったように―完全主義者だったというではないか。
N:表現を続けて行くということは遅かれ早かれ命を縮めることになる。そこ
までして何で、と思うが、そこまでしないと満足しない気持ちもわかる。むずかしいことである。
◎村上春樹『村上ラヂオ』(マガジンハウス)
P12
思うんだけど、人間の実体というのはいくら年齢を重ねても、それほどは変わらないものですね。何かがあって、「さあ、今日から変わろう!」と強く決意したところで、その何かがなくなってしまえば、おおかたの人間はおおかたの場合、まるで形状記憶合金みたいに、あるいは亀があとずさりして巣穴に潜り込むみたいに、ずるずるともとのかたちに戻ってしまう。決心なんて所詮。人生のエネルギーの無駄
づかいでしかない。クローゼットを開けて、ほとんど袖を通されていないスーツや、しわひとつないネクタイを前にして、つくづくそう思う。しかしそれとは逆に「別
に変わらなくてもいいや」と思っていると、不思議に人は変わっていくものだ。変な話だけどね。
N:そうね変な話だね。そして、人間って変なイキモノだね。
P76
人生は人の事情におかまいなく勝手に流れていく。
N:おお、流れていく、流れていく、便器の中の巨大なウンコも一緒になって流れていく、アデオース。
P188
かなりの確信を持って思うんだけど、世の中で何がいちばん人を深く損なうかというと、それは見当違いな褒め方をされることだ。そういう褒め方をされて駄
目になっていった人をたくさん見てきた。人間って他人に褒められると、それにこたえようとして無理をするものだから、そこで本来の自分を見失ってしまうケースが少なくない。
だからあなたも、誰かに故のない(あるいは故のある)悪口を言われて傷ついても、「ああよかった。褒められたりしなくて嬉しいなあ、ほくほく」と考えるようにするといいです。といっても、そんなことなかなか思えないんだけどね。うん。
N:うん、思えない。
◎大島渚『戦後50年映画100年』(風媒社)
P152
〜最初にびっくりしたのは、学生劇団のころ神様のように思っていた新劇の俳
優たちがあまりにも下手くそであったことである。それはただただクサく、インチキで、下手くそ以上に犯罪的であった。〜「一にしろうと、二に歌うたい、
三四がなくて五が映画スター、六七八九となく十が新劇」
N:新劇のあとに“十一小劇場”を追加するのはどうだろう。
◎山田風太郎『ぜんぶ余禄』(角川春樹事務所)
P115
〜僕は両親を亡くしてからの危ない時期をなんとか逃れている。地べたにいる
虫けらのごとく、踏みつけられて踏み潰されるはずだったのが潰されなかったんだね。むろん、そんなこと、当時は自分で意識しなかったけれど。
N:山田爺のこういった言葉。好きです、とても。
P125
〜お母さんの死は、僕の人生で最大の出来事だね。〜中略〜男の子にとって母親は綱引きの綱だね。子供が勝手な行動をして向こうに行こうとするのを、母親が引っ張って止めてくれるからね。
「綱引きの綱」というのは、子供を制御する綱ということ。だから、男の子
が悪いことをせずにすむのは、母親のことを考えて、「おふくろいに心配かけてはならない」というところがあるからじゃないだろうか。
N:同感です(泣)。
P169→〜人間はいかなる状態でも幸福を感じるものだ〜
N:これも同感です(晴れ晴れ)。
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