bo-bo-記 rec.0144 01.10.07



しゃべりつづける次女」
  


 ただ今高校一年生のわが家の次女はものすごくおしゃべりです。友達のことや学校であったこと、今現在の悩みなどいろいろお話ししてくれます。先日、高校の保護者会がありました。 担任の女先生が、

「おひとり、ひとつでいいですから、現在お子さんのことで気になっていることを手短にお話しください」

そう、言われました。
夜寝るのが遅くて困っています、朝なかなか起きないんです、メールばっかりしているんです、援助交際しているかもしれないんです、等々、それぞれの家庭の問題がここで明かされます。その日、父親が出席していたのは僕の他にはひと家族だけでした。そのお父さんはユニクロで1900円で買ったパンツを履いた僕の隣に座っていて、濃紺のスーツを着た落ち着いた感じの方でした。

「あのー、私はー、娘と二人暮らしなんですがー、お恥ずかしい話なんですがー、高校に入ってから娘が口をきいてくれなくなりましてー、学校での様子がまったく分かりません。どうぞ気が付いたところで結構ですから、学校での娘の様子を知りたいのですが・・・」

 ああ、なんというケナゲなお父さんでしょうか。それまで子供だと思っていた娘が、高校に入ったとたん父を男として意識し始め、急に話をしなくなってしまうのです。可哀想なお父さん。僕の瞳はウルウルしてしまいました。

「わかりました。後程ゆっくり娘さんのお話をお聞かせします」
「ありがとうございます」

 濃紺スーツのお父さんは、女先生に向かって頭を下げていました。  

「えーっと、それでは次のかた。えー、ナカジマさん」
「はい!」

 しまったー、思わず大声になってしまいました。僕は地声がでかいのです。教室中の視線が僕に集まります。ああ、恥ずかしいですー。

「えー、ウチの子は先程の娘さんとは反対で、喋り過ぎて困っています」  
「わかります。私も昨日1時間ほどつかまりました」
「それはスミマセン」
「いーえー、楽しいですよ、彼女とお話しをするのは」
「ありがとうございます。あのー、べつに喋るのはいいのですが、喋り過ぎて疲れるというのです、学校は楽しいけれど喋り過ぎて疲れると」
「疲れると思いますよ。あれだけ喋っていたら」
「そーですよね」  
「ええ」

ああ、やっぱり学校でもおしゃべりなのだ、わが家の次女は。でもなんだか嬉しいです。学校でジッと静かにおとなしくしている次女の姿は想像したくないのです。しゃべってこそ次女。しゃべり疲れてこそ、わが娘なのです。 
でもこんなこともありました。
それは次女と細君の三人で映画「ブリジット・ジョーンズの日記」を観た帰り道のことでした。

「お父さん、今の映画なんでR−15指定なの」  
「そーだなー、暴力シーンはなかったし、エッチなシーンもなかったし、なんでだろう」 
「ちょっとだけベッドシーンはあったけど、あれぐらいだったらテレビの二時間ドラマでも観られるし・・・」  
「あっ、あれじゃねーか、台詞、なんかエッチな台詞いってたろ」  
「フェラとか」  
「そうそう」

 ちょちょちょちょちょっと待てー!父親に向かってフェラとか言うか、ふつう、フェラとかさぁ。こーゆーところは誰に似たのでしょうか。
それはキット前妻です。
千葉に住む前妻は昨日も朝早くに電話をしてきて、

「ねえ、“あげまん”てのはさぁー“あげマン○”の省略型でいいの?」  
なーんて、突然聞いてくる人なのでした。恐ろしい。 閑話休題、次女の話はまだ続きます。

「あのさぁー、映画観ててさぁ、ひとつだけわかんない英語があったんだけどさぁ」  
「なに」  
「『ディック』ってなんて意味?」  
「うーん、それはスラングでさぁ」  
「スラングって?」  
「隠語」  
「インゴって?」  
「サナヴァビッチとかアースホールとか、映画観るとよく言ってるじゃないか、汚い言葉を」  
「ふーん、で、どういう意味?ディックは」  
「うーーん・・・」

 どうしよう娘とこんな会話してていいのだろうか。どうしよう。まっ、いいか、フェラも出たことだし。今日は無礼講だ。

「デカチン」  
「えっ?」  
「“でかいポコチ○”って言う意味」  
「ふーん、それって、言うとどうなるの」  
「どうなるって、人をバカにした言葉だよ」
「えっ、どういうこと?“でかいポコチ○”って言うのは褒め言葉じゃないの?」  
「うーん、人によるかな。小さい人にとっては褒め言葉になるよ、それは。でも、基本的に人をバカにした言葉。なぜなら、でかいポコチ○の人ってバカっぽいから」  
「そうなの?」  
「そうなのって、お父さんもよく知らないけど・・・馬場や猪木ってバカっぽいだろ」
「馬場や猪木ってでかいの?」
「・・・知らないけど・・・あっ、そうだ。上田馬之助はでかかった。昔見たことある」
「その人はバカだったの?」
「たぶん・・・」
「じゃあ、あれ?でかい人がバカだとすると、小さい人っていうのは頭がいいの?」  
「うーん、それは・・・・」
「政治家はみんな小さいの?」  
「うーん、たぶん・・・あっ、橋龍はでかいかな」
「見たの?」  「・・・いいえ」  
「お父さんはどっち?」  
「えっ、うーん、小さい方かな・・・」  
「じゃあ、頭いいんだ」  
「うーん、それは・・・・」  
「家によく来るJさんは?」  
「あいつは、でかいよ」  
「じゃあ、ディックだね」  
「おお、あいつはディックだ」
「こんど来たら言ってみようか、ディックって」  
「おお、そうしよう」  
「今度いつ来るの?」  
「しらない」  
「早く来ないかなー、ディック」

次女はサンタクロースを待つような目付きになっています。Jさん、ごめんなさい。 あなたは、今日から、わが家では“ディック”になってしまいました。恐るべし、次女です。
彼女のことは、もう誰も止められません。
このあとも、家に帰ってから、ディック・ミネの話で次女は盛り上がりをみせたのでしたマル。

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