bo-bo-記 rec.0087 00.12.06



エンゲキ=[mne.george]のころ(14)」
  


ダラダラと自分の恥部を垂れ流すように書いてきてしまったが。ダラダラついでにもう少しこの「エンゲキ=[mne.george]のころ」にお付き合い戴きたい。 こういうエンゲキの話を書くと、どうしても役者の方にスポットがあたってしまう。まあ、それはある意味で仕方がない。だって、役者をやる奴は本当にバカばっかりだからだ。でも、スタッフの中にも愛すべき人々はたくさんいる。今回はスタッフのことをダラダラと書いてみよう。

舞台監督の黒さんはイイ意味でタヌキ親父だ。Fと僕の間を上手に泳いで行く。あまり感情的にならず。ある意味真面 目に、ある意味いい加減に、コトを進めて行く。今回、彼に要求したことは、演技エリアと客席エリアの結界をできる限りなくしてほしいこと、客入れと同時に芝居はスタートしているのでそのように客を誘導してほしいこと、暗転は完全暗転にしてほしいこと、くれぐれもケガ人を出さないでほしいこと、大きくはこの四つである。問題は完全暗転だ。どこをどうやっても明かりが何処からか漏れてくる。何度も手を加え、最終的に店の上の部分に暗幕を覆うことになった。これが風が吹くと空気を孕んで大きく膨れ上がる。風が吹く度に数人で暗幕の端を掴まえてなくてはならない。寒空の下、僕も暗幕隊の一人として本番中は暗幕の端を掴まえていた。 本番の日、それまで冷静だった黒さんが興奮していた。予想外に客が入り受付はてんてこ舞い、場内は騒然としている。芝居は客入れと同時にスタートしている。受付から地下に降りる階段のロウソクが消えかかり、誰かがまた点けにいく。初めのセリフが発せられる時間が迫ってくる。これは音楽でタイミングをとっているため、変更は不可能。それまでにキチンと客入れは済むのか。黒さんが助手のカワキチに怒鳴っている。みんな、イッパイ・イッパイなのだ。

「黒さん、落ち着いて。」

柄にもなく僕が言う。黒さんが答える。

「楽しいですよ!客入れ!!」

うれしかった。客入れでこんなに興奮してくれて、僕は本当にうれしかった。
人を持ち上げるのが上手なタヌキ、それが黒さんである。

舞台監督助手のカワキチは[mne.george]の前の[ZOO]、[mne.george]後の[SINO=TOGE・1999]、[ハーヴェスト]、と四本の作品にまたがって付き合ってくれた。四本とも付き合ってくれたのはこいつだけだと思う。カワキチというとみんな男だと思うが実は女の子である。なぜカワキチと呼ばれているのかは未だに知らない。

美術の森君は小さいとき母親から「あんたは24歳で死ぬ」と告げられ、それをなんとなく抱えて生きているヘンな男だった。

「森、悪いけどセットのカウンターの上に亀を七匹欲しいんだけど。それで、その亀の上にロウソクを立ててカウンターの上を歩かせるの。甲羅には夜光塗料が塗ってあって、暗転になると光るんだよ。キレイでしょ」

おちゃめに言ってみた。人にモノを頼む時はおちゃめに限る。

「キレイでしょ、はいいですけれど。亀はどうするんですか。」

「大宮に氷川神社っていう神社があるの。そこに池があって、亀がたくさんいるの。」

「泥棒ですか。」

「違うよ。借りるの。一週間ぐらい、借りるの。」

「誰が掴まえに行くんですか?」

「僕と君。と言いたいんだけど、僕は稽古があるから君。」

オラは本当にひどい人である。

「どうしても必要ですか、亀。」

「ええ、必要です。」

「なぜですか。」

「う〜ん、なぜだろう。」

ただの思いつきとは言えなかった。

「登場人物は六人。でもmne.georgeも居るだろ。タマシイは七人なのよ。だから、どこかに七つという数を入れたいのよ。」

苦しいが何とか理屈を付けてみた。だいたい演出なんて、ほとんど思いつきなのであって。理由なんてのはほとんどの場合、後付けなのだ。今回の亀も、道を歩いていてフト映画「泥の河」のワンシーンで子供がふたり、蟹に火を点けて歩かせる遊びをしていたのを思い出したに過ぎない。でも、それが実現したなら本当にステキだろうという確信はあった上で発言しているのだが。。。。。

「分かりました、なんとかして見ます。」

しかし本番では亀が熱帯魚に変わっていた。それじゃあ意味があまりないゾ、と思いつつも。徹夜で熱帯魚に夜光塗料を塗っている森の一生懸命さに打たれ。熱帯魚もなかなか、と言ってるオラはホントなんだかなである。

 

「トータル・サポーターって何?」

スタッフ表にあるこのトータル・サポーターを指して、その当人である小桶に聞いてみた。

「ええっと、何でも屋ですね。何でもやる代わりに、何にも責任はとらない。中途半端な僕にピッタリの役職ですね、エヘヘ。」

実に不気味な笑い方をして、実に不気味な存在感がある男、小桶。この男、すぐ脱ぐ。よっぽど何かに対して大きな不満があるのだろう。何かと言うと脱ぐ。詫びをいれると言っては脱ぎ。楽しいからと言っては脱ぐ。全裸でポコチンぶらぶらりだ。それもT.P.O.あまり関係なく脱ぐ。別 の芝居の地方公演のとき、同室になった森君は二人きりの場面で脱がれて、非常にやるせない思いをしたらしい。恐ろしいことだ。

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