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bo-bo-記 rec.0092 00.12.20 「エンゲキ=[mne.george]のころ(最終話)」 |
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僕たちの場合はバカを通り越して、狂ってる、と言われました。 芝居の始まりが恋の始まりのようだとしたら、普通 は芝居の終わりは恋の終わりのようになります。しかし、狂った恋(芝居)をした人達の終わりは葬式のようになります。いや、葬式を取り仕切るような気持ちでみんなが本番に向かいます。プロデューサーのFがさしづめ葬儀委員長というところでしょうか。いろいろトラブルがありながらも淡々と時間は流れて行き、段取りどうりに着々とスタッフの手で作業は進められて行きます。舞台稽古、そしてゲネプロ。ゲネプロはいいかえればお通 夜のようなものです。頭は興奮状態にあるにもかかわらず、気が付いたらすでに終わっておりました、そんな感じです。この段階で演出家の僕の仕事は95%終了です。あとはキャストとスタッフが好き勝手に本番(葬式)をやるだけです。 さて問題は、この燃えあがった魂を何処に葬ったらいいのでしょうか、ということです。芝居を創るたびに困ります。僕は何処かにエンゲキ=[mne.george]の魂を葬らなければ、次に進むことができないのです。一度、この魂を何処かに葬って、ニュートラルの状態にもう一度魂を置く。そうしないと次の作品の魂を拾うことは出来ない。役者やスタッフのように本番に肉体を乗っけて、客と一緒にその時間内で燃え尽きることが出来ればいいのだが、本番において肉体を必要とされない演出家にはそれが出来ナイ。なんだか無性に寂しくなる。寂しくて女の穴にポコチンを入れたくなる。そこで入れてもなにも解決しないけど入れたくて仕方ない。必死になってだれかの名前を呼ぶが誰も答えてはくれない。 小さい頃、百点満点を取ったとき真っ先に母親に見せた。母ちゃん、百点取ったよ。答案用紙をヒラヒラさせながら母ちゃんに見せた。オラも母ちゃんも、とても幸せを感じた。その顔がもう一度見たくて、オラは生きて来たのかもしれない。母ちゃん[mne.george]はどうかなぁ、おもしろいかい、オラはがんばったのかなぁ、これでよかったのかなぁ。なあ、褒めてくれないかなぁ。母ちゃん。褒めてほしいんだよ、オラは。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 本番は連日超満員になり、Fとノブ子の制作コンビは“勝ち”をおさめた。最後のカーテン・コールが終わり役者たちが僕のところへやって来た。孤独なアキラ、臆病なヤス、情緒不安の理人、狂気の想、不思議なマンナ、壊れたトシヤ。まだ半分役が入ったままのみんなを連れて渋谷の街を歩いた。なにも交わさず、僕たちは歩いた。それぞれの感情が夜の渋谷に溶けていく。僕たちの[mne.george]が終わった。 「X」の前ではではすでに後片付けが始まっており、ノブ子がお手伝いの女の子に指示を飛ばしていた。 Fが僕を見つけ近づいて来た。
そう言ってFは右手を差し出した。
そう言おうとしたら、涙が零れそうで言えなかった。 また一人だ。 ◆ ◆ ◆ ◆ もう何十年もまえのことのように思えるが、エンゲキ=[mne.george]からまだ三年しか経っていない。その間に僕は2本の芝居の演出をし、C型肝炎になった。僕たちのたまり場、カフェ「P」も「X」も店を閉めた。僕たちはあのまま港に入ることなく、そのまま何処かの海の上を漂流してしまったようだ。 ある日、Fから久しぶりに電話があった。
元気そうと言えば元気そうなのだが。なんだか晴れの日が少ない最近の天気のようにどこか頼りなげでもあった。
正直言って、嬉しかった。忘られていなかったんだ。オラのこと覚えてくれていたんだ。また、なにか創ろうと誘ってくれてるんだ。こんなオラを・・・・・・・。
ノブ子と話しながら、またあの頃のあいつらに会いたくなった。決してあの頃には戻りたくはないけれど。あの頃のあいつらには会って、少しだけ勇気を貰いたい。 トシ、アメリカ、本石、静岡、武蔵野、アンナ。 あの頃のあいつらには勇気があった。この上なく美しい勇気があった。 いつの間にか電話はまたFに代わっていた。
Fが少しだけピッとするのが分かる。
電話の向こうのFのアゴが少しだけ光って見えた。 →next rec. |
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