◇縦帆の帆船・エルカノ
タイトルカットの船、このへんな形の帆船は、トップスル・スクーナーといいます。
縦帆の帆船で、ヨットの大きいやつみたいなのです。好きな船です。
帆船の中では高速がでるほうです。
全てのマストが縦帆で、最初のフォアマストだけ縦帆+
横帆という構造をしています。マスト1本につき帆2枚ですから、帆が
すごく大きい。ヤードと帆を操作する人員が
少なくてすみます。また、縦帆なので、風に向かって走らせたら、
普通の帆船は、大きい船でも追いつけないでしょう。
4本マストのトップスル・スクーナーは現役艦ではとても
少ない...というか、一隻しかない(3本マストなら、大阪港の
「あこがれ」をはじめいっぱいあります)。スペインの大型練習船、
1927年建造の「ファン・セバスチャン・ド・エルカノ」がこの
絵のモデル。外洋を全速力で帆走しているのを空からみた様子は、えもいわれぬ
美しさであります。港のエルカノと外洋のエルカノはかなりちがいます。
◇光と影の船・エスメラルダ
このエルカノ号には、同じカディスの造船所で1952年頃作られた姉妹船が
あります。
日本の帆船フェスティバルでおなじみの、チリ海軍の練習船
「エスメラルダ」がそれです。みためソックリですが、エスメラルダ
はトップスル・スクーナーではなく、バーケンティンなのです。
たしかチリ側の注文でそうなったような...。なんか欠点あるのか?
4檣スクーナー。
両者の違いは、フォアマストに縦帆があるかないかです。
多かれ少なかれ、19世紀以前の帆船は血なまぐさい過去があるものですが、
現役帆船で、ユーレイ出そうな船ナンバーワンが、エスメラルダ。
この船が悪いわけではないですが、1973年、チリが独裁下にあったとき、
民主化運動をした人々をとらえてこの船で拷問したとゆーすごい過去があります。
これをアメリカ市民が告発し、その後数年にわたり、エスメラルダは各国で入国拒否を
されました。今でも入港反対が起こることがあります。
その後独裁者は裁判にかけられ、国は民主化され、エスメラルダは新生チリの親善大使として、
各国に積極的に出向いております(軍の船なんで機銃つんでますけど)。
◇日本のエルカノ
調べてみたらエルカノ号も最近日本にきていたんですね。きれいだった!よかとこBY様
きれいな写真を公開してくれてありがとう。
◇最高速で海を渡れ
ところで、世界最速の帆船というのをご存知でしょうか。
「124時間で何マイル走ったか」を競う帆船の国際賞「ボストン・
ティーポット・トロフィー」というのがあります。これは、
ルールの下で各自自分で測定して申請し、元旦から大晦日までの記録で
一番よかった船がもらえるのです。
これのワールドレコード(1995年記録)をもっているのが、1989年建造、現在
台風の被害を修理中の「海王丸2」です。横須賀・浦賀ドックで作られた最新鋭の(そして最後の)帆船で、
新日本丸ですらかないません。
1997年、この最新鋭の海王丸からトロフィーを奪還?したのが、御歳70歳の
老エルカノ号。まだまだ引退しそうもありません。
実は2005年1月現在、BTトロフィーを保持しているのもエルカノ
なのです。
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